セミナー「日中コンテンツビジネス~最新動向にみる課題と可能性~」報告
2019年07月12日
日中経済協会主催、DCAJ企画運営協力によるセミナー「日中コンテンツビジネス ~最新動向にみる課題と可能性~」を開催しました。
2019年6月27日(木)、ホテルヴィラフォンテーヌ東京汐留にて、セミナー「日中コンテンツビジネス ~最新動向にみる課題と可能性~」が開催され、120名を超える参加がありました。
本セミナーは、一般財団法人日中経済協会主催、当協会及びSBクラウド株式会社企画運営協力によるものです。
はじめに、白鷗大学経営学部の青﨑智行教授による基調講演が行われました。青﨑教授は、急速に成長・拡大した中国コンテンツ産業はかつてない大きな変革期に突入しているとして、市場、政策、課題と可能性、の3つの視点から、その現状と将来を解説しました。
青﨑教授は、長く中国のコンテンツ産業をウォッチしてきた経験と広範囲に亘るネットワークからのホットな情報に基づく現状分析を行い、中国の各種制度の検証、ユーザーインサイトの状況、具体的なビジネス手法等について、今ある課題を明らかにすると共に今後の大きな可能性を示唆しました。
また、中国政府は国家資本主義的な傾向を更に強めていくことが予想されるとし、これからの日中コンテンツビジネスは、個社・数社による取組みだけでなく、業界内外の幅広い連携・連帯が不可欠である、と指摘しました。
続いて、SBクラウド株式会社の吉村真輝氏より、「日中ビジネスにおけるアリババクラウドの機能と可能性」について報告がありました。吉村氏は、中国ビジネスに海外から参入するのは、ICPライセンス取得、Great Firewallの存在、サイバーセキュリティ法による制約等により極めて困難である現状を踏まえ、これまで日系企業の中国におけるクラウドサービス利用を数多く支援した経験から、一案としてのアリババクラウドの活用を提案しました。続いて、実際に中国とのビジネスを展開している株式会社ビヨンドの大原裕也氏、VisualOn, Inc.の半田寛之氏から、それぞれ、中国へのWebコンテンツ展開とゲームインフラの構築、中国向けライブ配信における新たな価値提供について、現場の立場からのプレゼンテーションがありました。
最後のプレゼンとして、株式会社テレビ東京の秋間眞良氏より、「中国におけるテレビ東京のアニメ関連事業の現状」についての報告がありました。秋間氏は、2010年より中国との共同制作フルCGアニメーション番組『トレインヒーロー』プロジェクトに参画し、中国でのテレビ放送、劇場版全国公開、玩具等マーチャンダイジング等のビジネスを展開。その後も様々な作品を通しての中国との共同事業は、アニメ配信、商品化、現地子会社設立、中国企業との製作委員会組成、また、イベントやショップ運営等、多岐に亘り、その経験から得た知見やノウハウを紹介していただきました。
総括として、中国市場の売上は大きいがビジネス領域では配信・ゲームに偏っているため、他分野でもビジネス展開を行い、事業の拡大、リスク分散を図る必要があるとし、リスクを踏まえての経験は業界のためになる、アニメビジネスを取り巻く国内事情はメリットばかりではないが、海外は手付かずの分野がまだまだあり、そうしたところに一歩踏み出すのが重要、失敗を恐れず打席に立とうというメッセージがありました。
本セミナーでは、質疑応答ツール「シムフロー」を活用し、会場からの質問をリアルタイムで受け付けたところ、多岐に亘る質問が寄せられました。それに基づき、青﨑教授がモデレータとなり、パネル形式の質疑応答セッションを行いました。
テレビ東京秋間氏に対しては、中国企業と組んで開発するメリット、現地企業を立ち上げる必要性、パートナーに中央でなく地方を選んだ理由等について、また、SBクラウド吉村氏に対し、中国でのICPの種類と許可を得る難しさ、日本でのライブを配信する可能性等、青﨑氏にはゲームの需要について、コンテンツの検閲、知財、レベニューシェア、等の質問があり、各質問に講師が応答しつつ、熱いディスカッションが行われました。
今日のセミナーを機に今後のフォローアップミーティングにつなげていきたいとの期待が述べられた後、参加者による懇親会に移りました。
【本件に関するお問い合わせ】
一般財団法人デジタルコンテンツ協会 国際部 intl-dept@dcaj.or.jp
以上